現在世界ツアー中の Ado が、ニューシングル〈Value〉をリリースした。作詞作編曲はボカロ P の POLICE PICCADILLY が手掛け、嵐の前の静けさのような、穏やかでありながら洗練されたメロディが特徴だ。また、イラストからアニメーションまですべてを iPad で制作され、歌詞も Apple Pencil で書かれた躍動感のある作品となっている。
先月に台湾初公演で大成功を収め、4 月下旬には自身最大規模となる国立競技場でのワンマンライブ「心臓」を開催、両日とも即完売となった。 国立競技場でのワンマンライブは女性ソロアーティストとしては史上初となり、日本の音楽史に新たな 1 ページを刻むことになる。 台北公演終了後、多忙なスケジュールの合間を縫って、Adoは台湾公演のご感想や新曲〈Value〉について台湾メディアの質問に答えた。
ー活動を開始して 7 年経ちますが、最も変わったことは何だと思いますか。
精神面だと思います。以前より活動者として、仕事をやる人間として責任を持ち、自分の歌により自信
が持てた感じがします。
ー《Adoの歌ってみたアルバム》をリリースされ、様々なアーティストの楽曲を解釈されたと思います。どの楽曲が最も難しかったですか?理由と共に教えてください。
〈飾りじゃないのよ涙は〉は、昭和歌謡ということもあり中森明菜さんの実力を改めて感じ、リスペクトとして歌を表現することが難しかったです。(ミキシング作業も、その時代のテープの音源を再現していただくなどのこだわりも提案させていただきました。)〈愛して愛して愛して〉は欲望と狂気の表現が難しかったです。ただ叫べば良い、ただ悲観的であればよいか、と言われたらそうではなく、その中に繊細さや幼さを表現することも大事でしたので、それらが大変でした。
ーAdo さんがお一人でレコーディングをされることは有名な話ですが、昨年は非常に高頻度で何曲もリリースし、ツアー中にも新曲を発表されていました。曲を受け取ってから自分なりに解釈しレコーディングするまで、平均どのぐらいの時間がかかりますか?これまでに特にチャレンジングだった楽曲はありますか?
解釈にかかる時間は自分でもわかりません。基本的にはすぐ歌えてしまいますが、細かなニュアンスを作り込む際は細々とした時間が必要になります。 1 番チャレンジングな楽曲は〈唱〉です。スピード感、ハイトーン、発音し慣れない歌詞にとても苦戦しました。
ー〈唱〉はリリース以来大きな人気を獲得し、第 74 回紅白歌合戦でも披露されましたね。振り付けもこの楽曲の見どころの一つですが、 Ado さんはダンスの練習にどれだけの時間を費やしましたか?紅白の舞台のために何か特別な練習などはされましたか?
サビ以外の残りの振り付けは自分で考えたりアレンジを施しましたので、ダンスの苦労は特にはございませんでした。逆に言えば複雑な楽曲故、表現も多様でしたので振り付けを考えるのはとても難しかったです。
ー Ado さんのステージ衣装はとてもゴージャスでスタイリッシュです。衣装のデザインに関して Ado さんが意見することはありますか?また、今回のワールドツアーのステージや演出内容に Ado さんも関わっていますか?
大まかに毎回テーマを自ら提案しています。2nd ツアー「マーズ」の衣装は、60 〜 80 年代のクラシックな
SF 映画に登場しそうなレトロな宇宙服をテーマに挙げ、制作していただきました。パンツスタイル、シ
ルエット、自分のライブに大きなストーリー・テーマがある際は提案をさせていただくことも多いです
。ステージ面など映像をはじめ自分のイメージするものを話し合い、歌以外のところでも自分でチェッ
クしています。
ー既にワールドツアーのいくつかの公演を終えられたと思いますが、海外に行く際のマストアイテムは何ですか?
自分のパジャマは必須です。ホテルのパジャマは私はよく眠れません。
ーAdo さんはご自身を内向的な性格だと仰っていますが、自室のクローゼットの中で歌っていたところから何万人もの観客がいるステージに立つことに緊張はされますか?もしそうなら、どうやって緊張をほぐしていますか?今回のワールドツアーに向けて何か特別な準備をされていますか?
初めて日本で大きなステージに立った際は緊張しましたが、自分はその緊張も物にしてしまうタイプの
人間です。そしてそれがツアーだとあまり緊張はしなくなって行きます。緊張のほぐし方は特にございません。強いて言うなら、緊張しているということは自分に自信があるということ、そうポジティブに思うようにしています。
ー以前 Ado さんは暇な時に料理をしたりパンケーキを焼いたりしていたそうですが、ライフスタイルが変わって、最も上達したと感じるスキルは何ですか?得意料理はありますか?
ないです。むしろ悪化しています。パンケーキは未だに焦がします。
ー以前タピオカ屋でバイトされていた Ado さん。台北公演のステージでも台湾のタピオカミルクティーを飲んだと仰っていましたが、いかがでしたか?それ以外に台湾滞在中にどんなことをしましたか?
おいしかったです。白いタピオカドリンクを初めて飲みました。もちもちしていて、とてもおいしかったです。他には夜市で遊びました。色んなものを食べたり、色んな雑貨を買いました。日本でいう原宿のようなところにも遊びに行き、Tシャツを買ったりハローキティのヴィンテージグッズを買いました。
ー台湾でのライブはものすごい熱気に包まれていましたが、台湾のファンについてどのような印象を持たれましたか?
とても盛り上がってくれて嬉しかったです。物販にもたくさん並んでくださり、台湾の皆さんの熱い思いを受け取りました!
ーAdo さんは 2 月 23 日に新曲〈Value〉をリリースされますね。この新曲について詳しく教えていただけますか?それ以外のプランに関しても何か教えていただけることがあるでしょうか?
作詞・作編曲はボカロ P のポリスピカデリーさんです。〈Value〉は皆さんにとっては新しく感じるようなテイストかもしれませんが、私にとっては風が私の心を撫でていくような、どこか夢をめざしていた頃の懐かしい気持ちが芽生えた楽曲です。さわかさと切なさが感じられるかと思います。私の歌い方も飾り立てたものではなく真っ直ぐな気持ちを表現しました。今後は Wish の公演が続きます。日本の 4 月末には私史上最大規模であります国立競技場でのライブを控えておりますので、この Wish で経験を重ねて成長したいと思っております。
Ado official SNS
文:MeMeOn Music
写真:ユニバーサルミュージック