日本の音楽シーンで 30 年にわたり活躍しているミュージシャン、KIRINJIが今週末台湾・台南で開催される「LUCfest」に初参戦することになった。日本のヒップホップ界の女王 Awich や韓国の実力派バンド SE SO NEON とコラボしてきた彼が、今回は弾き語りで一味違ったパフォーマンスを披露する予定。ライブ直前、インタビューをさせていただいた。
ー今回、初めて台湾の音楽フェスに参戦することになりまして、台湾に対する印象を教えてください。また、ライブ以外に台湾で楽しみにしていることはありますか?
およそ 10 年前に一度、台北に行ったことがあります。夜市の賑わいが強く印象に残っています。生きたエビを釣って遊ぶ出店があり、釣ったエビをその場で焼いて食べました。また夜市に行ってみたいですね。当時は臭豆腐には手を出せませんでしたが、今回はチャレンジしてみたいです。
ーLUCfestのラインナップで特に興味を持った台湾のミュージシャンやバンドはいますか。
バンド名が興味をそそられるイルカポリス。 Mango Street Papa は独特の浮遊感が好みです。 PUZZELEMAN の camping live session のビデオに見入ってしまいました。
ーこの間ニューアルバム《Runner’s High》がリリースされました。1曲目「Runner’s High」には、新しいスタジアムができたり、行きつけのお茶屋さんがなくなったりと、家を出てからの景色の変化が歌われています。それと同時に、コロナ後のすがすがしい気持ちも表現されています。 コロナとオリンピックの後、台湾人として久しぶりに日本に行ったとき、いろいろな変化も感じました。だからこそ、見慣れた風景を見たとき、「いいなあ! この店、まだあったんだ! 」、「あ、こちらはまだ残ってる!」とすごく感動しました。KIRINJIさんにとって、まだ残っていて素晴らしいと思うお店や景色は特にありますか。
有名なところでは、明治神宮ですね。近くの原宿や渋谷は新陳代謝が盛んな街ですが、神宮の森はシンとしていて、いつ訪れても心が洗われます。
ーコロナ後、日本に参戦する台湾のファンもけっこういますが、日本のおすすめの穴場があれば教えてください。
東京には新宿始発のJR中央線という路線があります。その沿線の駅には個性的な街が点在していて面白いです。大久保、中野、高円寺、西荻窪、吉祥寺、などなど。サブカルチャーや古着、古本、アンティークを扱うお店があります。安くて美味しい食べ物屋も多いです。
ー〈ほのめかし feat. SE SO NEON〉とのコラボに韓国の人気バンドSE SO NEONを選んだ理由は何でしょうか。彼らの印象を教えてください。
彼らの音楽は以前より好きで聴いていました。彼らが来日の際にお茶をする機会があり、その時にコラボレーションを申し出ました。一番の理由はソユンさんのボーカルが好きだったこと。またソロプロジェクトSo!YoON!では多彩な音楽に取り組んでいたので、彼女の興味の方向、才能に奥行きを感じたからです。ベースのヒョンジン君も音色、タッチが素晴らしく手堅いプレイをしてくれました。
ー音楽制作にAIを活用しようとするミュージシャンは増えており、OASISの新作をシミュレートした例もあるそうです。こういう状況に対して、どう思いますか。
きっと以前に聴いたことのあるようなものになるでしょう。それを聴きたいという人がいて、それで満足できるなら好きにやったらいいじゃないか、という感じです。たぶん、自分の作品がそういうことをされたらすごく嫌な気分になると思います。
ー今後の活動予定を教えてください。
11月から6人編成のバンドで日本国内でツアーをします。日本に旅行がてら、観にきてみてはいかがでしょう?
ー台湾の皆さんへ一言お願いします。
今回は弾き語りという形態で一人での演奏になります。音源の印象とは違うかもしれませんが、曲の面白みが伝わるように頑張ります。いつか台湾の皆さんにバンドスタイルでのKIRINJIを観ていただきたいと思っているので、いつか台湾を訪れた時はよろしくお願いします。台湾の皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!
文:迷迷音 MeMeOn Music
写真:LUCfest 貴人散步音樂節