古川本舗 インタビュー 「海外のファンが自分にもいる状況にいまだに慣れていない」

先月2月3日に6年ぶりのシングル〈 知らない feat.若林希望 〉をリリースした 古川本舗 が3月10日にシングル〈 yol 〉を配信リリース。今作は、「 きのこ帝国 」(活動休止中)でギター・ボーカルを担当し、現在はソロで活動中の 佐藤千亜妃 がボーカルを担当。今回、古川本舗様を迎い、活動休止のこの5年間について、コロナ後の音楽活動に対する考え、そして台湾に関する思い出についてお話をいただきました!

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ーまず、5年ぶりに音楽活動を再開したきっかけは何でしょうか。

もともとラストライブ後に、すぐ戻ってくるよ、的なことを発言していて、何らかの形で活動再開をすることは既定路線でした。ただ、どんな名義でやるのか、どんな内容にするのか、という点でかなり悩んでしまい、数年かかりました。昔からの友人と話していた時に、何をしている自分もフラットに扱ってくれている存在がいるということに気が付き、何をしててもいい=古川本舗でよいのでは、ということにつながりました。

ーこの5年間はどのように過ごしていますか?何か新しいことを挑戦してみましたか。

仕事メインでやってましたので仕事方面のスキルはかなり上がりました。今は業種的には経営サイドなので昔ほどゴリゴリ物作るという感じはなくなってはきましたが。3Dやプログラミングの知識は結構深まったので、何かしら音楽活動に反映出来たらと思ってますが、今は曲作りでそれどころじゃないって感じです。

ー「古川本舗である自分」と「古川本舗でない自分自身」について、いろいろ考えていたそうです。改めて「古川本舗」という名前は古川さんにとってどんな存在でしょうか。

自分にとっては分身であり、唯一の理解者みたいなポジションかなと思ってます。活動形態としては特殊ですし、なんだかんだでそれなりに長い間やっているので、多分ほかのアーティストにはない悩みみたいなものも多く抱えざるを得ない活動方法なので、すべてを理解できるのが自分だけしかいないというのがつらいところです。そういった点を分かち合う仲間、みたいに考えています。

ー佐藤千亜妃さんをボーカルに選んだ理由は?また、この曲はどういう経緯で生まれた曲なんですか?

佐藤さんは以前やられていた「きのこ帝国」というバンドの大ファンで、いつかご一緒出来たらと思っていました。歌のうまさも当然ですが、ほかにない声の魅力を持っていて、かつその魅力の出し方使い方を本当によく理解されているボーカリストだなと思います。実際レコーディングもものすごく上手い方でした。単純に歌が上手いだけでなく、表現の仕方、テイク選び、理想的なレコーディングでした。

曲自体は、今回一連の曲全て夜をテーマに作ろうと決めていたので、その代表というか、テーマソングになるような曲を作ろうと思って組み立てました。かつ、以前やっていた古川本舗的な音像にならないようにというのは重視しました。もともと活動再開をすると決めたときに、同窓会的な活動には絶対にしたくないというのが自分の中であったので、過去の代表作に似た傾向の曲は作らないと決めていたという経緯がありました。過去作と似たような形で活動するのであればそもそもやめる必要がなかった、という結論にしかならないので、そういうことはしたくないなと。とはいえとりあえず新しければ良いということでもないので、過去を引き継ぎつつ新しいもの、というのはどういうものなんだろう、みたいなことを考えて作った曲です。

ー若林希望さんと佐藤千亜妃さん以外、他コラボレーショーンしたいアーティストやクリエーターがいますか。

正直そろそろボーカル固定したいです(笑)できれば女性が良いと思っていますが、なかなか難しいもんですね。とりあえず今は先のことはそんなに考えていないので、ボーカルとしては今はいないです。映像系やグラフィック系はいろんな方とご一緒出来たらと思っています。

ー新型コロナウイルスの感染拡大で、ライブの中止・延期を迫られて、音楽業界は生存の危機に晒された。音楽は生活必需品ではないと言われて、音楽のあり方も変わってきました。このコロナ禍の中、また音楽をやり始めた古川本舗さんにとって、あらためて音楽の力は何だと思いますか。

個人的には、音楽に求めるものは生活を彩るスパイスであればよいと思っていますし、それ以上の機能も求めていないので、音楽業界の衰退、みたいな話はあまり自分とは関係ないのかなと思っています。

したがって、こういう時期だから世界に向けてのメッセージを発信しよう、みたいな機能を持った音楽、というようなものにもあまり興味が無かったりします。今の時代ですと、寂しいといえば寂しい話ですが、感覚的な豊かさを提供してもらうより、もっと現実的なことに苦しんでいる人が多いと思います。医療従事者の方などを応援しようと思っても、気持ちより現実的に休みや保証を届けてあげたい、と思ってしまいます。そういう意味では現実の問題に対する音楽の無力感は感じた一年ではありました。皆が苦しい今だからこそ、そういった余裕がまだ持てない方々には一日も早く現実的な問題が軽減され、せめてそういった余裕が持てるように世界がなればと願いますし、少なくとも音楽を使って少しでも生活を彩ることができる感覚を持つ余裕がまだある方には、生活を彩る一助になればと思っています。実際新しく立ち上げたレーベルのコンセプトが「Lifetime Soundtrack」と銘打っているのですが、生活の真ん中に居座るわけではなく、端っこで彩れる音楽を作っていく、というような意思表示であったりします。

音楽業界的な観点で誤解を恐れずに言うと、音楽は生活必需品ではないのだ、ということをもっと正面から考える良い時期になったのではないかと思います。ただ、そんな中でも技術やインフラの発展で、立場やスケールを問わずライトに音楽を発信して届けられる環境が整いつつある、ということにもっと目を向けることで、今後の音楽の在り方というのも見えてくるのではと思っています。

ーこのコロナ禍において音楽業界にも大きな変化があります。録音作業など、全てリモートでの対応になり、 ライブやファンとの交流などもすべてオンラインが前提になりました。今までストリーミングをやらないアーティストたちもどんどんオンラインに移して、いろんな価値観が変わったと思います。古川本舗さんは音楽活動を再開するだけではなく、ライブ配信プラットフォームやモーションキャプチャーシステム等、ITとエンターテイメントを結ぶクリエイティブカンパニー、株式会社ドキドキファクトリー(と共に、事務所兼レーベル「 DONAI paris 」も設立しました。今後の活動展開についてお話をいただけますでしょうか。

ドキドキファクトリー自体は、以前古川本舗で鍵盤を弾いてくれていた久保君の会社なので、感覚としては友人と一緒に思い付きの悪だくみをしながらビジネスをしているという感覚です。彼とは同い年なので好きなものや感じるものなども近いので、お互い仕事で培っている大人の力を出しながら本気で遊んでいるという感覚が一番近いです。なので先のことをしっかり考えてビジネスしているというよりは、その時その時の感覚で遊んでいるという感じのほうが近いので、ちゃんと今後の展開とか考えている、というわけでもなかったりします。なのでいつもドタバタしてます(笑)

ー古川本舗さんは台湾にいらっしゃったことがあります。新型コロナウイルス収束後、台湾に旅行できれば、やってみたいことや行ってみたいところはございますか。

台湾は街並みも人もすごくよかったのでぜひまた行きたいです。観光もそうですしライブもしに行きたいですね。

ーMeMeOn Musicの読者に一言御願いできますでしょうか。

海外のファンの方が自分にもいる、という状況にいまだに慣れていないのですが、以前台湾にライブをしに行った時の感動は今でも覚えていますし、実際本当に素晴らしい一日を過ごさせてもらいました。改めて台湾の皆さんありがとうございました。時間かかりましたが戻ってきましたのでまた会いましょう。Facebookなどで情報は随時発信していますので是非チェックしてください。海外での配信も現在鋭意準備中ですので、もうしばらく楽しみにお待ちください。

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文:MeMeOn Music / 写真:DONAI paris