2020年にメジャーデビュー10周年を迎えた VALSHE が新作《ISM》をリリース。自身のスタイル=主義・主張を改めて発信していく意気が込められた。アルバムに収録される曲は、全曲全く違うジャンル感を目指した。 今まで様々な楽曲スタイルに挑戦してきたVALSHEが、さらなる音楽的可能性を広げる。
タイトル曲〈GIFT〉は「デジタルロック」シンガーとしての王道のジャンル感を保ちながら、ビート感や楽曲の雰囲気はこれまでの楽曲とはかなり違う。多角的な視点で書かれた「あなたは間違えない」という歌詞も意味深長で、リスナーの皆さんにはその巧みさを楽しんでいただきたいと思う。 また、和風ファンクの〈浪漫主義〉、ここ数年流行しているフレンチエレクトロ、K-POPなどのスタイルに加え、VALSHEの柱であるファンタジーな雰囲気や世界観を持った楽曲、アニメソング、サブカルチャーの楽曲などを詰め込め、「VALSHEイズム」が凝縮された。
今回の台湾盤は日本と一緒となった初回限定盤 (CD+DVD)で、〈GIFT〉のMVとメイキングが収められる。 今回は、VALSHEさんをお招きしてお話を伺った。
ーVALSHE LIVE 2022「ISM」終わったばかりです。ライブを通して曲もまた別の形に成長していくと思いますが、実際にはどうでしょうか。改めて感じたことや気づいたことなどがありますか。
楽曲制作において、どんな楽曲を制作する際にもLIVEでのフロアの様子を想像するタイミングがあります。いずれのLIVEでも”期待通り”なのか”それ以上”を見せてくれるファンの皆さんですが、今回は”それ以上”の景色と、熱量を感じていました。久しぶりの単独LIVEでしたから、それぞれの思いがより募った時間でしたね。
ー「主義/主張」という意味が含まれた「ISM」をタイトルにつけたのは最初からの設定らしいです。このアルバムで“仲間”、“敵”、“家族”、“命”、“信頼”、“今”など、各楽曲には明確なテーマが設定されてます。こういう構成で作ろうと決めたのも最初からでしょうか。
最初から決めて制作しています。「ISM」を発表する前に10周年を迎え、これまで、これから、応援してくださる皆様に喜んで欲しいという思いのもとベストアルバムを作りました。自分の気持ちは100%「誰か」に向けられていたんです。新たな作品ではそれをすべて「自分」に向けてみようと思ったんです。
ーデビュー当時から自分の主義・主張、価値観はそれほど変わっていないんですが、その中で唯一変わったのは「命」についての価値観のようです。変わったきっかけは特にありますか。今のVALSHEさんにとって、「命」にどう思われますでしょうか?
一つのきっかけ、というよりは日頃応援してくれるファンのメッセージであったり、交流を通じて、また音楽を制作する日々の中で、「生きていたい理由」が「生きていなくてもいい理由」より増えていったんだと思います。個人的な価値観ですが、蟻も犬も人も命は等しく命であってそこに優劣はないと考えます。扱い方や活かし方で、どのようにでもなってしまう危ういものだからこそ、美しいとも思います。
ーコロナ禍で、当たり前のことが当たり前にできなくなって、VALSHEさんの価値観、曲作りにも影響を与えていますか。
自分の価値観には特に変化はありませんでしたが、「世間」の価値観の変化は日々感じていました。その中で音楽を作り続けることについて、正しいことか間違ったことかを改めて考えたりはしませんでしたが、その渦中において音楽を必要としてくれる人に向けてどんな楽曲を届けられるのかは、ずっと考えていました。
ー全曲全く違うジャンル感を目指すことによって、制作に大変だったことはありますか?また、特にどの曲が大変でしたか?
元よりジャンルボーダーレスな楽曲はVALSHE作品の大きな特徴とも言える部分なので、今回も長らく制作を共にしている音楽制作陣チームと楽しんで制作をしていました。制作陣への信頼にも助けられて、新たなジャンル感や、ボーカルアプローチにチャレンジすることに自信がありました。
ー改めて、ご自身にとって今回のアルバムはどんな一枚になりましたか。
ミニアルバムじゃなくアルバムって言えば良かったな〜(笑)と思えるほど様々な要素がミニで収まっていない作品です。ジェットコースターのように景色を変える作品たちは、上へ下へ、右へ左へとリスナーを振り回しますが、どれもすべてがVALSHEの特徴で、真実です。おもしろいアルバムですよ。
ー最後はMeMeOn Musicの読者にメッセージをお願いします。
VALSHE自身が色んな国やジャンルの楽曲が好きです。そのお陰で今作「ISM」のような作品が作れているわけですが、台湾盤の発表ができたことを嬉しく思っています。さて、自分がどのような人間かをひとことで表すのは難しいですよね。今作では楽曲を流すごとに、歌詞を読むごとに、「どれが本当のVALSHEなのか」をぜひ探してみてください。あなたは間違えない。
写真:Welcome Music