ーK-POPの他に、新しい音楽の情報を得るツールは何ですか?
まずはウチのライブハウスに出てくれるアーティストをチェックするのと、あとはTwitterやFacebookの評判だったり、周りの友達が良いと言ったら聞く。みんなと同じだと思います(笑)でも今はYOUTUBEはもちろんですが、例えばAMAZONを見ても「このCD買った人はこんなCDも買ってます」とかオススメされるのがあるじゃないですか? そういう関連情報を掘っていくと永遠に終わらないですよね(笑)情報ツールもフォーマットも増えて、この多すぎる情報の波から若い子達がどう取捨選択してるのか、僕もとても気になります。
ーお客さんが増えるように何かプロモーションしてますか?
もちろんイベント毎にフライヤーやポスターの展開など昔からの方法もやりつつ、ウチはビジョンもあるので映像広告もあります。他の広告展開も常に考えてますが、雑誌は買わなくなってしまってる気がしますが、なんだかんだやっぱりTVのパワーは一番強いですよね。そしてWEBのプロモーションも効果的だと言われてますが、WEB上のアクセス数だけで判断するのが早計だというのは、それこそIT業界で働いてたので分かってます。WEBサービスも数年おきに流行が変わるので、ちょっと前はみんなmixi、数年前からはFacebookとTwitter、ここ1〜2年はIinstagramが良いとか、でも最近の10代の間ではまたmixiが復活してるとか、どのWEBが効果的でどこに注力すべきか、もう正解は無いくらい分散しちゃってます。でもWEBも結局口コミの延長だと思うので、どこに広告を載せるかだけではなく、どう広がる話題を作り出せるか、またはブランド力を作るか、が大事だと思います。もちろん良いモノを作るのが大前提で。その後押しとしてのプロモーションですよね。
理想的なライブハウス?!
ー理想的なライブハウスって何だと思いますか?
理想的なライブハウス、、階段が少ないライブハウスですかね(笑)。O-EASTは階段が多いので、出演者もスタッフも一日働くと行ったり来たりで足がとても疲れます。たまにZeppとかBLITZとか他の会場に行くと、フラットな作りの会場は搬入出もすごく楽ですね(笑)
ー他のライブハウスはどうですか?
ライブハウスにもそれぞれ個性があるので、例えばLIQUIDROOMやUNITはオシャレだし、いい音だし、LOFTも歴史があるからこそLOFTでやりたいってバンドも多いですよね。O-EASTはオシャレさでは負けますが(笑)渋谷のど真ん中の歓楽街のクラブや飲み屋がひしめく中で、若者の雑多なカルチャーの中心にあると思っています。
ーO-EASTだけの魅力はなんですか?
O-EASTは音が良いと思うのと、フロアが横長なので、他の同キャパのライブハウスより、どこから見てもステージが近いです。あとは系列店舗があるので、ステップアップしながら出演できる事ですね。若手バンドはどんどん使って欲しいと思います。
ー台湾の人たちにオススメするとしたら、どこがオススメのポイントですか?
小さい会場から大きい会場まで沢山あるので、好みの音楽を探して全部見れますよってところですかね。たまに都市型の周遊フェスとして、リストバンドを買うと複数のライブハウスを回れるようなイベントもよくやってますので、そういう時に来たら、沢山の会場といろんなライブが見れると思います。
YATSUI FESTIVAL! 2016
ー6月に「YATSUI FESTIVAL! 2016」をやりますね。
それがまさに複数店舗でやる周遊フェスです。「YATSUI FESTIVAL(やついフェス)」は今年で5年目になりますが、このフェスは、お笑い芸人「エレキコミック」のやついいちろう君が主催者で、僕は制作担当をしています。O-EASTなどウチの4店舗の他に、隣にあるライブハウスのDuo Music exchange、club asia、VUENOS、GLAD、7th FLOOR、近所のクラブのVISIONやHarlemまで借りて、合計11箇所のライブハウスで同時にやります。出演者は総勢285組、お客様は2日間で1万人で、毎回ソールドアウトしています。
ーすごいです!
とてもおもしろいフェスですよ!ロックバンドもお笑い芸人もアイドルも文化人も全部ごった煮で、色々カオスです(笑)。でもなぜかとてもピースフルで混乱はありません。若手アーティストからビッグネームまで出演して、音楽としてもカルチャーとしても、いろんな発見と出会いがあります。( 参考 : http://yatuifes.jp )
ーこのフェスを通して、ライブへ行く人も増えますか?
そう願いたいですね。でも今はフェス自体がものすごく増えて、一年中全国でフェスが行われてます。フェス文化は盛り上がってますね。でも一部で、フェスに行くか、好きなバンドのワンマンに行くかの2択で、ライブハウスでいつもやってるような3〜5組のブッキングライブに行く若者が減った気がします。昔は好きなバンドなら、対バンイベントでも遊びに行って「初めて見たこのバンドもがかっこいいな!」とか、好きなバンドと良く一緒にやる仲間のバンドの事も好きになったり、バンド同士の横のつながりがお客さんにも伝染してムーブメントが作られてた事もあったのですが、最近は「対バンだと好きなバンドの持ち時間が減る」とか「ワンマンだったら2時間見れるのに、4組出たら1バンド30分でしょ」なんて言うお客さんが増えたり、ワンマンで1300キャパのO-EASTがソールドアウトするバンドも、対バンだと200人しか呼べない現象もありますね。でもフェスの場合は演奏時間が短くても、豪華メンツだし、お祭りだからそれはそれで楽しい、っていう。ちょっと寂しいですが、きっかけはフェスからでも何でも良いので、近くで見れる迫力のあるライブハウスも楽しいので、新しい出会いと発見を求めて遊びに来てもらいたいですね。
ーライブハウスに対するイメージは昔と変わりましたか?
昔は確かにライブハウスは怖いところでしたが、いまはとっても健全です。自分が若い時は、ライブハウス行く時は怪我してもしょうがないと思ってましたけど(笑)、いまは怪我したらそこそこ事件になってしまうので、ルールやサポート体制も取っています。そういう面ではとても健全になりました。スタッフも優しいですよ(笑)なので、初めてでも安心して来れる場所になってますので、是非来てください。
ー昔からいままで、いろんなイベントをやって、特に印象に残ってるイベントはありますか。
BOOM BOOM SATELLITESというバンドがO-EASTでライブをやった時、バンドの音作りとPAの技術だと思うのですが、今までウチで聞いたことないくらい良い音だったんです。とても大きい音だけど耳にうるさくなく、重量もあり抜けが良い音でした。O-EASTでこんないい音が鳴るのかとビックリしました。それ以外もたくさん良いライブは見てますが、スゴイ演奏、カッコいい音楽を聞くと、仕事しながらもテンション上がりますし、それを見て盛り上がってるお客さんを見ると、本当に嬉しいですね。
台日音楽交流しましょう!
ー台湾にいらっしゃる日本のバンドも、最近けっこう多いですね。例えばONE OK ROCKは今、台湾でもすごく人気があります。そして去年、Fire EX.という台湾のバンドと、MONOEYES、THORNAPPLEという韓国のバンドとで、三つのバンドが一緒にイベント作ってアジアツアーを回りましたよ。
最高ですね!もっと台湾の人と交流して何か生まれるような、ただ一緒にやるだけじゃなくて、そうやって本当にバンド同士が仲良くなって欲しいし、バンド発信で一緒にイベントを作るとか、一緒にCDを出すとか、そういう交流をやって欲しいですね。そのきっかけとして我々のような業界が動ければ良いのですが。
ーミュージシャンだけではなく、デザインナーやブランドとコラボするのもいいですね。
CDジャケットやグッズのアートワークを作ってもらったりとかですね。いいですね!
何か仕掛けたくなります!(笑)良いアーティストがいたら是非紹介してください。
ーぜひ何か一緒に出来たら良いと思います! ところで、O-EASTだからこそ、今日は暇だからO-EASTへ行ってみよう、という人はいますか?
うーん、O-EASTだけで言うと、それはあまり無いですね。なぜなら、毎日ジャンルが違うので、急に来ても好みに合わない事もあると思います。でもウチの他の会場も含めたら、何かしら好みのイベントはあるかもしれません。先程のライブハウスの色の話とも同じですが。僕はO-EASTの人なのでO-EASTが有名になるのは嬉しいですが、実際はそこに出たアーティストが育つのほうがやっぱり重要ですよね。うちも25年以上やってるので、今は武道館やアリーナクラスでやるようなアーティストでも、初めて東京に来て出演したライブハウスはO-nestです、とか、たくさんいるんですよ。たとえば、武道館でソールドアウトしたあるアーティストが、チケットが手に入らず外で漏れてる音を聞いてるお客さんが300人ぐらいるとスタッフに聞いて、MCで「外で音漏れ聞いてるみんなー!聞こえる?300人いるって聞いたけど、O-Crestだったら即完だよ!」って言ったそうです。武道館クラスのアーティストが昔に良く出演してたO-Crestの名前を言ってくれた。それだけですごく嬉しいですよね。もっと頑張って働こうと思えます(笑)
ーそれはすごいエピソードですね!では最後に、MeMeOn Musicの読者に一言お願いしてもよろしいでしょうか。
日々のライブハウス業務は続けてがんばります。このインタビューがきっかけで、台湾に興味が湧きました。インタビュアーさんのおかげですね(笑)これから台湾の音楽事情も勉強して、ライブを見に行ったりしてみたいです!台日音楽交流しましょう!是非日本のアーティストのライブも体験して下さい!
文:迷迷音
写真提供:TSUTAYA O-EAST
関連文章:日本live houseインタビュー・TSUTAYA O-EAST 渋谷でのエンターテインメントが網羅され、アーティストを育てる事が出来る(1)