日本のピアノ連弾ボーカル姉妹ユニット「 Kitri 」、1stアルバム《Kitrist》が先日台湾でリリースされた。姉のMona はボーカル、ピアノ低音部(Secondo)を担当、妹のHinaはコーラス、ピアノ高音部(Primo)を担当(ギター、パーカッション他)。
2016年ライブで京都を訪れていた大橋トリオの手に自主制作盤が渡り、その音源を聴いた大橋が絶賛。2019年1月23日、日本コロムビアより1st EP《Primo》でメジャーデビュー。Spotify 「Spotify Early Noise Artist 2019 」やYouTube「Artists to Watch」等に選出されるなど、ブレイクアーティストとしても注目されている。今回MeMeOn Musicは、そんなKitriに初インタビューを行うことができた。
ー1stフル・アルバム《Kitrist》の台湾リリースおめでとうございます。Kitriとして初のフルアルバム、そして台湾でのリリースと、ユニットのキャリアとしてひとつの節目となる作品だと思いますが、ご感想を教えていただけますか?
Hina:ありがとうございます!初めてのフルアルバムで、自信を持って良いと思えるものを作ろうと、周りの方々と試行錯誤を重ねて制作を進めたので、出来上がった時にその重みを感じて感動しました。色々な方に私たちの音楽をお届けしたいと思っていたので、台湾でもリリースさせていただけることをとても嬉しく思います。
ー《Kitrist》のリード曲の〈Akari〉は、プロデューサーの大橋さんもピアノやベース、マンドリンと主要な演奏で参加してました。レコーディングする時、なにかエピソードはありますでしょうか。
Hina:この曲は、大橋トリオさん、ユニット「赤い靴」のお二人、「超常現象」のお二人がアレンジで参加して下さいました。私たちはピアノ連弾をする予定でしたが、レコーディングの当日までピアノアレンジに迷いがありました。そんな中、その休憩時間に、大橋トリオさんがこの曲のピアノをアドリブで弾いてくださっていたんです!そのアレンジがあまりに素敵だったので「もし宜しければ…レコーディング本番でも弾いていただけないでしょうか。」と勇気を出してお願いしたところ、大橋さんは「僕で良ければ」と快く弾いてくださいました。素晴らしい音楽家の皆さんのおかげで、Kitriの楽曲に新たな色や世界が広がった1曲が誕生しました。
ー家族全員大橋トリオさんが好きだそうです。大橋さんとの出会い、そしてメジャーデビューまで至ることなんて、ドラマみたいな展開だと思います。ピアノ連弾ユニットとして音楽で生きていく今の姿はイメージしてましたか?
Hina:二人で音楽活動を始めてからはデビューすることを目指して頑張っていましたが、まさか家族で応援していた大橋トリオさんにプロデュースしていただくことになるとは夢にも思っていませんでした。どこかで見てくれている人はいるんだなと実感しましたし、本当に有難いことだと感じています。
ー実際に大橋さんと一緒に仕事して、大橋さんに対するイメージは変わりますか。
Hina:優しい方だというイメージはそのままでしたが、実際にお会いしてからは、想像以上に音楽に対する真摯な姿勢を持っていらっしゃる方だという風に感じました。他には、お茶目な一面やユーモアセンスが抜群なところも垣間見て、緊張している時にリラックスさせてくださる方だと感じます。
ーアルバムに収録される〈羅針鳥〉という曲にはAntonín DvořákのSymphony No.9「New World Symphony」第4楽章を取り入れると気を付きます。この前にも、〈LIFE〉にベートーヴェン第5「運命」を取り込んだことがあります。このような名曲を取り入れる曲について、どのように制作していますか?
Mona:私は、これまでクラシック音楽に影響を受けてきたので、リスペクトを込めて、クラシック曲のモチーフを取り入れることがあります。その中でも、名曲ありきで作る曲と、あとから名曲を取り入れたいと思って作る曲があります。〈LIFE〉という曲は、ベートーヴェン第5「運命」の、誰もが知るメロディーや展開を自分たちの音楽に落とし込む事はできないだろうかと考え、作った曲です。一方、〈羅針鳥〉という曲は、曲のメロディーがほとんど出来上がった段階で、ふとドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の有名なメロディーを思い出しました。新たな世界へ一歩踏み出そうとする〈羅針鳥〉が、「新世界より」というタイトルやテーマと近いものがあると感じ、曲の中に取り入れたいと感じました。
ー〈羅針鳥〉のスペシャル音源QRコードをアルバム特典として封入されましたが、この曲はお二人にとって、特別な曲ではないでしょうかと思いますが、この曲を選んだ理由を教えて下さいませんか。
Hina:この曲はKitriを沢山の方に知っていただくきっかけとなった曲で、デビューへの決意を表しています。「これがKitriです」と言えるような曲にしたいという思いで作った〈羅針鳥〉をまた新しい形でお届けし、多くの方に楽しんでいただきたいと思ったので、この曲を選びました。
ーKitriさんのCDジャケットは可愛くて、幻想的な感じがします。音楽と同じ、見る人の心を落ち着かせます。Monaさんが昔から絵を描くのが好きみたいですが、好きなイラストレーターさんは特にいますか。
Mona:Kitriのジャケットは2枚のミニアルバムに続き、今作《Kitrist》でも、奥原しんこさんというイラストレーターの方にお願いしました。Kitriの世界観を筆遣いや色合い、絵のタッチなどありとあらゆる面で工夫を凝らして表現してくださっていて、私たちもとてもお気に入りの一枚です。奥原しんこさんの他に私たちがとても好きなイラストレーターさんは、田中麻記子さんという方です。フランスのパリを中心にご活躍されていますが、一度私たちの〈雨上がり〉という曲にアニメーションを作ってくださる機会があり、その時から田中麻記子さんの絵の世界に引き込まれました。優しくてみずみずしく、心をぎゅっと掴まれるような作風がとても好きです。
ー《Primo》と《Secondo》という自己紹介的な2枚のミニアルバムを経て、今回初のフルアルバム《Kitrist》が完成しました。このアルバムがKitriの第1章を締めくくる作品になったとお喋ったことがあります。Kitriの第2章はどんなテーマでいこうか、できる範囲でお話をいただけますでしょうか。
Hina:第1章ではKitriとしての第一歩を踏み出すことになりましたが、第2章では、一歩踏み出した先から見える景色を存分に描いたものを作りたいと考えています。これまでのようにピアノ連弾と歌のハーモニーを軸に、クラシカルなだけでない曲調やこれまでとは一味違ったアレンジ、歌詞など、また進化したKitriの音楽を皆さんにお届けできるように準備していますので、楽しみに待っていただけたら嬉しいです!
文:MeMeOn Music / 写真:Welcome Music
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