世界的ギタリストの MIYAVI が 40 歳の誕生日を迎えた翌日の 9 月 15 日、 13 枚目のアルバム《imaginary》をリリース。このアルバムには、ニュージーランドのシンガーソングライター Kimbra とのコラボレーション〈Imaginary〉、 Daniel Kang とのフィーチャリング〈Hush Hush〉、そしてNirvana〈Smells Like Teen Spirit〉とP.O.D.〈Youth of the Nation〉のカバーなども収録されている。 このような豪華な内容は、様々なスタイルを持つMIYAVIならではのオリジナルアルバムとなる。 今回は、MIYAVIさんに、このアルバムやコロナでの生活について語っていただきました。
ニューアルバムについて
ーニューアルバム《Imaginary》のコンセプトについて、教えてください。
「想像力=思い描く力」コロナ禍において、僕たちは未来が見えないことの恐怖を改めて感じました。予定が立てられない、仕事はどうなるんだろう、など、やっぱり未来や先行きが見えないのは怖い。そんな中で、未来を感じることができる作品を作ることが僕たちアーティストの存在意義なんじゃないか、未来を信じられるパワーを与えることこそが音楽をはじめ、映画を通じて僕たちができる使命なんじゃないかと強く感じました。なので今回のアルバムは暗い曲をいれたくなかった。少し無理してでもポジティブで前を向けるような楽曲をいれたいと思って作りあげました。
ー《Imaginary》のレコーディングは順調に進んでいましたでしょうか。 前のアルバムはアメリカでレコーディングされていましたが、久しぶりに日本でレコーディングして、何か違いがありますか。
東京とロサンゼルスを繋いでリモートで制作したので、時差ややり方の違いなど大変な部分はあったけど、「東京で作るしかなかった」ではなく「東京でしか作れないもの」にしたかった。そういう意味で今回、サウンド面で新たにJeff Miyahara、ビジュアル制作でPERIMETRONを招き、クリエイティブのプロセスにおいて、東京にいても世界を感じながら制作することができたと思います。
ー先行公開の<New Gravity>は昔の曲<Gravity>と何か関連性があることに気付きましたが、この2曲には何かの繋がりがあるのでしょうか?
直接的な繋がりはありません。この曲は「New Gravity=新しい重力」ルールや決まりなど、これまで自分たちが築いてきたもの、同時に自分たち自身を縛ってきたもの=重力を壊して新しく構築していく、ということをテーマに書きました。感染症の影響で今まで当たり前だった経済活動の基盤が変わっていく中で、新しい重力=価値観の世界の中で自分たちがどう在れるのか。全ては自分たち次第なんだということを歌っています。
<New Gravity>MV:https://www.youtube.com/watch?v=8s6thUOCDK4
ー有名なロックバンドNIRVANAの<Smell Like Teen Spirit>をカバーしましたが、この曲を選んだ理由は何ですか?
世界を変えた楽曲です。すでにギターミュージックなので、難しいチャレンジでしたが、今は、どんな曲でも 自分のサウンド=MIYAVI サウンドにできる自信があるので、自由にやらせてもらいました。すごく光栄です。僕も、もし誰かが自分の曲をカバーする場合そのままよりも大胆にアレンジして欲しいと思うので、カートも喜んで聞いてくれているといいなあと思います。
ー他人の曲以外にも、自分の曲<SUPER HERO>をセルフカバーしましたが、なぜこの曲のセルフカバーを作ろうと思ったのでしょうか?
単純にファンのみんなが喜んでくれるかなあと。節目でのリリースでもありますし、長く応援してくれている皆に、現在進行形の僕の表現で届けたいと思いました。
ー<HUSH HUSH>は韓国出身の歌手Kang Danielとのコラボ曲なんですが、どんな感じで仕上がりましたか。Kang Danielに対する印象も教えてください。
彼とはスタッフを通じて知り合いました。すごく今ホットなアーティストだけど、すごく真面目でまっすぐなアーティストだと思いました。彼と彼のスタッフさんも、MIYAVIの音楽を知ってくれていたので、話は早かったし、今回この曲を通じて、僕にとっても彼にとっても新しい発見がたくさんあったと思います。
ー《Imaginary》のアルバムジャケットは、バーチャルリアリティの要素を入れて、近未来のSF的な雰囲気を醸し出していますが、これはMIYAVIさんが先日行った、360度見渡せるVR効果のあるオンラインパフォーマンス「VIRTUAL LIVE 360」に触発されたものでしょうか? それとも、実は一連のプロジェクトなのでしょうか?
「架空を吐き出す」本当の自分を解放することをテーマに、PERIMETRONチームがアイデアを出し合って作ってくれました。坊主頭にするのは、僕も前からしたかったので(本当は特殊メイクじゃなくて、本当に刈りたかったくらい!)今回、挑戦できてうれしかったです。本来の自分を表現しています。
ー最近公開された、タトゥーをした僧侶やバイオニックロボットのような視覚効果のシリーズ写真はとても目を引きますが、これはMIYAVIさんのアイデアですか。
同上
生活について
ー新型コロナウイルスがいまだに世界中で猛威を振るっています。これからのアメリカツアーに不安を感じていますでしょうか?
もちろん、ないと言えば嘘になります。が、僕たちも安全には細心の注意を払って臨つもりです。何より、ファンの皆と再会できることをすごく楽しみにしています。
ーコロナ前の生活、一番懐かしいのはなんでしょうか。
やっぱり世界中を旅して、ステージに立つことでしょう!
ー今年日本にいる間の活動を教えてくださいませんか。 仕事以外の楽しみは何ですか?
今は、音楽以外にも、俳優としてアクションのお仕事や、声優としてのお仕事にも挑戦させてもらっています。新しく挑戦する全てのことから色々と学べることは幸せなことでもあります。
あとは、以前であれば年の半分以上をツアーなど海外で過ごしていたので、自宅でのファミリーとの時間も大事にしています。娘と一緒にバンドをやったりゲームをやったりしています。
ー遅ればせながら、第3子となる男児Skylerの誕生、おめでとうございます。赤ちゃん時の娘さんたちと一緒にスタジオやステージに立っていましたが、Skylerちゃんを連れてスタジオやステージに立とうと思いますか。
まあ、流れでステージに出ることはあると思いますが、やるならお互いアーティストとして、いつかやれたらいいですね。
お芝居について
ー俳優として今まで多くの作品に出演してきましたが、お気に入りの役は何ですか? 今後、どんな役割を挑戦したいと考えていますか?
うーん、一つに絞るのは難しいかなあ。大きい小さいにかかわらず、どれも大切な役だし、全てのプロセスにおいて、何かしら新しい発見があります。強いていうなら「マレフィセント2」の「ウド」かなあ。久しぶりに死ななかった(笑)、そして、悪役じゃなかった(笑)。個人的には、やはりそこにたどり着くまでのプロセスがあるので悪役の方が演じがいがありますが、この役は子供に教えたり、子供を守るなど、役立ったので子を持つ親としてもやりがいのある役でした。
ー9月にNETFLIXオリジナル映画《KATE》が放送されますが、MIYAVIさんはこの作品でどんな役を演じたのか、そして、どのようなストーリーなのか、簡単にご紹介ください。
僕は、JOJIMA という、浅野忠信さん演じる東京のヤクザ幹部のゲイの愛人を演じさせていただきました。アクションチームが、ジョン・ウィック制作チームということで、僕自身も本格的なアクションに挑戦させてもらいました。出来上がったものを見て、まだまだ未熟だなあと思う部分もありますが、たくさんのことを学ぶことが出来たと思います。主人公のケイトを演じたマリーも素晴らしい役者でした。プロとして挑む姿勢に感銘を受けました。世界各国でランキング上位にも入りたくさんの人に楽しんでもらえると嬉しいです!
《imaginary》配信リンク:https://miyavi.lnk.to/ima_alTP
文:MeMeOn Music / 写真:ユニバーサル ミュージック