絶望系アニソンシンガー ReoNa インタビュー  「《SAO》との出会いがなければ今のReoNaはいない!」

心の琴線に触れる歌声や歌詞はあるでしょうか。自分の気持ちがまさか歌われたような曲を聞いたことがあるでしょうか。もし《ソードアート・オンライン》という2012年からヒットしているアニメを知ってるなら、「絶望系アニソンシンガー」として知られる新星「 ReoNa 」も見逃せない!

2017年、ソニーミュージックジャパン主催のオーディション「SACRA MUSIC AUDITION 2017 SPRING ~VOCAL~」でファイナリストに選ばれ、所属アーティストになった。2018年4月より、TVアニメ《ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラン》にて、劇中歌アーティスト「神崎エルザ」の歌唱を担当。繊細で力強い歌声が多くのアニメファンの注目を集めた。同年8月、シングル《SWEET HURT》でデビューし、その後も何度か《ソードアート・オンライン》シリーズの主題歌を担当し、好評を博している。《Pilgrim》、《ANIMA》などの曲も日本のオリコンチャートでトップを獲得した。絶望している人の代弁者として歌いたいとテレビ番組で言っていた彼が、今でも自分の歌声で人に感動させている。

今回、台湾のファンに向けて、デビュー2年目の感想や自分にとって《ソードアート・オンライン》の意味、そして台湾に対する印象を語ってもらった。 また、最近TVアニメ《七つの大罪》のEDも担当。 彼女がどんな魅力を持っているのか?今回のインタビューを通して、見つけ出しましょう。 もしかしたら、彼女の深い感情表現の中から、自分の心に響くメロディが見つけられるかもしれないでしょう。

中文版

ーまず、台湾の皆さんに自己紹介をお願いします。

初めまして、「絶望系アニソンシンガー」ReoNaです。こうして台湾の皆さんに言葉を受け取っていただける貴重なインタビューという機会をいただけました、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。

ーもし初めてReoNaの曲を聞く人に楽曲(またはシングル)をお勧めするなら何にしますか?理由も教えてください。

4th Single《ANIMA》です。TVアニメ《ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld》2ndクールのOPテーマです。

〈forget-me-not〉や〈虹の彼方に〉でも寄り添わせていただたいた《アリシゼーション》編の物語の最終章、そしてReoNaとして初めて担当するアニメのOPテーマ。沢山の方に届いた、沢山の出会いをくれたお歌です。

「ANIMA」の意味はラテン語で「魂」、まさに《アリシゼーション》編の物語でとても大切なキーワードになってくる言葉です。「魂」ってなんとなく実在しているようで誰も見たこと、触れたことがなくて。それをSAOの世界では「フラクトライト」という一つのデータにして、AIを作りました。そのAI、「魂のコピー」達は、自分たちで考えて行動する、会話も出来るし、ルールもある、記憶も感情もある、唯一人間と違うのは肉体がないことだけ。

では、肉体を持つ、魂の入れ物がある私たちと、ゲームの中でも確かに感情を持って生きる彼らの魂は一体何が違うだろう。実際の「色」が何色か、よりきっとそれを、「魂」についてを考えることが大切なんだと思います。そんな意味を込めて「魂の色は何色ですか」と、絶望系アニソンシンガーとしてお歌を紡いできて、そのすべてを持って作品に寄り添った一曲です。

ー2018年ファーストシングルをリリースしてから2年を経ちまして、デビューしてからどのような成長をされたと思いますか?

デビューしたばかりの頃は「アニソンシンガーになりたい」と言う一つの大きな夢が叶ったと言うのもあって、夢を見ているような、どうかこの夢が覚めないでほしい、と言う気持ちで目の前のことを無我夢中でやっていた気がします。

それから一つ一つ、ステージを重ねたり、お歌を紡いでいくにつれて、常に最高を更新していたいな、と言う気持ちはあって、例えばライブでも、貴重なその日1日を空けて、チケットを手に入れて「友達に誘われたから」とか、「たまたま空いてた」人もいれば、「忙しい中、最初で最後のつもりで来ました」って人も、それこそ「海外から来ました」って人もいて。そんな一人一人の大切な1日を貰っている気持ちは絶対に忘れずに、「本番一回、一度きり。」と言う気持ちを強く持って、毎回その時出せる全てをお届けしています。

そんな風に思えるようになったのも、目の前にお歌を思い切り受け取ってくれる方々がいて、お手紙やSNSや色んなところからリアルな声を貰って。お歌を受け取ってもらえるだけでも嬉しいのに、今はSNSとかでたくさんリアルタイムに反応がもらえる。

最初は初めての事だらけだったのもあっていつも必死で、周りを見る余裕もなかったのですが、今はそうやって想像を膨らませることも出来て、昔よりは少し成長できたな。と思います。

楽曲制作の中でも、当時はどうやって音楽が出来て行くのか右も左もわからなくて、同じLIVE LAB.のクリエイターの皆さんを横で見ている中で「こういう提案ってしてみても良いだろうか」という部分だったり「こういう形だったら私の想いも伝えやすいな」っていうものが少しずつ出来てきました。その中で、「最近はこんなことを考えています」っていうメモ書きだったり、お手紙のようなものだったりをクリエイターの皆さんにお渡ししたりしています。そんな、ReoNaの想いに重なった、クリエイターの皆さんの伝えたいことがお歌になっています。

ー台湾のファンにとってReoNaといえば「ソードアート・オンライン(SAO)」というイメージが強いですが、ReoNaさん自身はこの作品に何か影響されたでしょうか?

《SAO》は、もちろんデビュー前から見ていた作品でした。そしてソロデビュー前に、TVアニメ《Sソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン》の劇中アーティスト、「神崎エルザ」の歌唱役として、デビュー前に人生で初めてアニメにお歌で携わらせていただきました。

初めて神崎エルザの歌唱役が決まった時は、実際にアニメの中で流れて、作品のファンの皆さんの声を目にするまで「本当はドッキリなんじゃないか?」とすら考えてしまうぐらい、私にとって人生を変える大きな出来事でした。

今までアニメやアニソンは放送されたもの、完成したものしか観たことがないし、聴いた事もなくて、レコーディングが始まるまで、じっくり原作を読み込んで「本当にこの物語が動いて、レンちゃんやピトフーイ達が戦って、その中に私の声が流れるんだ…」と想いを巡らせていました。

そこから、《ソードアート・オンライン アリシゼーション》のEDテーマ〈forget-me-not〉で初めて「ReoNa」として、《SAO》の物語に寄り添わせていただきました。さらに、作中での大切なシーンで〈虹の彼方に〉が流れて涙したり、《ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld》では〈ANIMA〉、1年越しに《アリシゼーション》編の物語に今度はOPテーマとしてお歌を紡ぎました。

《SAO》原作小説刊行10周年を記念したテーマソング〈Till the End〉も担当させていただいて、実際にイベント《ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-》の中で、《SAO》の今までを凝縮した映像の中でこのお歌が流れた時は、涙が溢れそうで。大きな絶望から始まったキリトたちの魂の物語に長く、深くお歌で寄り添わせていただいて、いろんな出会いをいただいて。《SAO》との出会いがなければ今のReoNaはいない、と思うほど大切な作品です。

ー好きなアニメ作品を教えてください。簡単に内容の紹介もお願いします。

《ぼくらの》。普通に、当たり前の日常を生きていたはずなのに、誰のせいでもなく世界と命を天秤にかけさせられてしまう少年少女。当時はまだ小学生だったので、この作品の持つ深い絶望全てを拾っていたわけではなかったのですが、世界の理不尽さだったり、生きているだけで、誰かに触れるだけで考え方や偏見や色々な物をどんどん「インストール」されてしまうことに対してのやり場のない怒りだったり、そんなものを抱えていた当時の自分に衝撃を与えてくれた一作です。

ー最近ハマったアニソンを教えてください。(もしくは最近良く聞くアニソン)

1.《ワンダーエッグ・プライオリティ》OPテーマ〈巣立ちの歌〉/アネモネリア

全国の学校で「卒業ソング」として合唱で歌われてきた楽曲が、またひとつ形を変えて、作中で声優としても出演されている4人の声のハーモニーが美しく新しく響いていて、私自身はこの楽曲を学生時代に歌ったことはなかったのですが、どこか効き馴染みがあるようでいて新しい、不思議な感覚になりました。ちょうど2021年の1月から始まったアニメなので、まだこの先物語の辿る道筋はわからないのですが、「いざさらば」という言葉がこの作品と共に届くだけで何か意味深なような気がしてなりません。

2.《どろろ》EDテーマ〈さよならごっこ〉/amazarashi

amazarashiさんは元々好きなアーティストさんです。アニメ《どろろ》前半の「はぐれ者」同士の物語に、一緒に旅を続けているのにいつか来る「別れ」や「終わり」をほのかに感じさせる楽曲がとってもぴったり合っていて、

イントロを聴くだけでも「どろろ」の絵がまぶたに浮かびます。

ー最近《七つの大罪 憤怒の審判》のエンディング曲を担当されたと思いますので、この楽曲について紹介していただけますか。

SawanoHiroyuki[nZk]:ReoNa /「time」は澤野弘之さんのボーカルプロジェクト“SawanoHiroyuki[nZk]“に、初めてゲストボーカルとして参加させていただいた一曲です。

デビュー前からいろんな作品やステージで拝見、拝聴していた澤野さんからお声がけいただけて、澤野さんの音楽の特徴の一つとして「音」をすごく大切にしていらっしゃるイメージがあって、歌詞の意味や深く深く気持ちを紐解くよりも、言葉の持つ響きやメロディ、シンプルな音の中で、ボーカルの勢いでどれだけサビに向かっての展開やうねり、勢いが付けられるか、というのをレコーディングに向けて何度も何度も確認しました。

2012年から始まった《七つの大罪》シリーズの中でもずっと劇中音楽を担当されてきた澤野さんの紡ぐ音の中にReoNaの声を初めて紡がせていただいて、どこか西洋のような雰囲気のある作品にこのお洒落なサウンドがどんな風に融合するだろう、というのは実際にオンエアされるまで私自身も楽しみでした。《七つの大罪》シリーズもいよいよクライマックスに進んでいく物語の中で〈time〉が作品の余韻にEDテーマとして寄り添えていたら嬉しいです。

ー2021年の目標を教えてください。

いくつか自分の中での目標はあるのですが、そのうちの一つにあるのが「ギターの上達」です。アニメ《ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン》劇中アーティスト「神崎エルザ」の歌唱役がきっかけで弾き始めたギターなのですが、

2019年に開催したワンマンライブツアー「Colorless」がきっかけで、いつも使っていたアコースティックギターに加えて自分のエレキギターも持つようになったり。2021年はギターで弾ける楽曲のレパートリーも増やせたら良いな、と思っています。

ー台湾に対してどんなイメージをお待ちでしょうか。もし台湾に来る機会があればどんなことをしたいですか?

とても暖かい場所のイメージがあります。伝統や歴史を感じられるようなところや、街にも行ってみたいです。「九份」は、写真で見た時に「千と千尋の神隠し」みたいな世界がある…!と衝撃を受けました。一度は訪れてみたい場所です。台北にはアニメイトなどアニメグッズのショップがたくさんある、とも聞いたことがあるので、台湾のアニメファンの方々が訪れるようなところも気になります。

ー台湾のファンへ一言メッセージ。

いつもSNSや動画のコメントなどを通じて沢山の応援をいただいています、ありがとうございます。初めて台湾のみなさんにお届けすることが出来たインタビュー、お楽しみいただけていたら良いな、と思います。まだ一度も台湾には訪れたことがなくて、いつか台湾のみなさんに直接、顔を合わせてお歌をお届けしに行きたいです。作品と共に、ReoNaのお歌もお楽しみいただけますように。

文:迷迷音 / 写真:Sony Music Taiwan

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