速弾き系のギタリスト大村孝佳 (Takayoshi Ohmura)はロックバンド C4、Cross Hard、dCprG、UROBOROSのメンバーであるほか、マーティ・フリードマン、LIV MOON、有名なアイドルグループなどのサポートギタリストとしても活動する。5月に大村孝佳が台湾でスペシャルセミナー開催。セミナーの前に、インタビューさせていただき、音楽活動に関するコツなど、いろいろな話をいただきました。
ーいろいろなサポートをやっていて、サポートと自分が表現したいものは違うところはけっこうあるかもしれないと思っておりますが、そのバランスはどうやってとりますか。
自分のバンドとかソロだったら、自分の表現したいものを表現するだけで、サポートだったら、そのサポートのスタッフだったり、チームがあるので、一緒に相談したりとか、求められてるものを表現するっていう形なんで、こんなにバランス自体は考えてないですね。やってもらいたいことを僕らが表現するっていう。そんなに難しくはないです。
ー日本のアーティストだけじゃなく、例えば台湾の歌姫A-meiさんのアジアツアーにも参加しました。台湾のライブの作り方は日本と違うところはあると思いますか。
まずは国の文化だったりっていうのをまず勉強するっていうか、知識入れておいて、どういう表現がその人たちに合うのかとか、日本人だったらわかるんですけど。感情とか、どういうふうな音楽性とか国民性とか文化とか、日本だったらわかるんですけど、やっぱり違う国だと勉強しないと見えてこないじゃないですか。それを勉強して、実際に会って、いろんな話をして、バランスを取っていくっていうか、じゃあなたはこうしてくださいみたいな感じで、仲良くなっていてからですね。ライブの作り方結構難しいかもしれないですね。仲良くなれないと。
ーそのきっかけはなんですか?
A-meiさんのきっかけは、A-meiさんの会社なのか、知り合いが日本にいて、それでオファーをいただきました。
ーなるほど。よくアイドルグループのサポートとかでワールドツアー行ってますが、海外進出する時、日本人として向こうに受け入れにくい、難しいところはないでしょうか。
あんまりそういうのは考えしない方が向こうが受け取りやすいかもしれないですね。こっちは日本人としていく、こっちは日本文化としてみせるっていう。なので、向こうに合わせるとか、そういうものじゃなくて、受け入れやすいものは与えるじゃなくて、こっちはこういうアーティストです、こういうエンターテイメントですっていうもの見せてあげた方が向こうも自由に受け取りやすいし、こっちも自由な表現しやすいので、なので、あんまり硬くならずにやってます。
ーA-meiさんとの共演について、いままでも印象に残ることはないでしょうか。
優しいということですね、みんなに対して。メンバーに対すのもそうですし、スタッフの人にもものすごく優しいし、いつものスタッフじゃないスタッフっていうのもいるじゃないですか?その手伝ってくれるスタッフさん、会場のスタッフさんにも優しいし、料理を作ってくれて、ケータリングとかやってくれる人にも優しいし。ほかのメンバーもそうだったんですけど、でも本当にトップなのに、ちゃんとみんながそれを学べるようにみせるっていうのはすごく大切なんで、だから本当にトップにいる人、本当のトップの仕事っていうか、普段もそういう部分を大切にするのかなっていう勉強になりました。それは一番思いとして残っていますね。
ーA-meiさん以外、注目してる台湾のアーティストさんがいらっしゃいますか。
台湾の曲聴こうと思ったら、なんかA-meiさん戻って来ちゃうんですよ。A-meiさんの曲本当にいっぱい演奏したんで、30なん曲演奏したんで、一曲一曲の思い出があるんで、台湾のアーティストとかいろいろ検索して探して、絶対A-meiさんが出てきちゃった。そのA-meiさんの曲覚えてた歌が全部英語の曲名で覚えてたんですよ。漢字の曲名覚えてないので、これなんなんだと思って、また聞いちゃって、「あ!あの曲な!」って聞いちゃって。最終的にはA-meiさんばっかり聞いてる感じ。
ーほか共演したいアーティストさんがいらっしゃいますか。
でも自分が憧れている人はちょっと怖いかもしれないですね。もちろんやりたいですけど、いろんなこと知っちゃうんじゃないですか。性格だったり、本当はいい人じゃないかもしれないとか。音楽だけでずっとみてるじゃないですか。でも実際会ってみると全然違う印象がとかめちゃ怖いので、いまは本当に自分の親友、知ってるアーティストさんとやりたいっていうのは本音かもしれないですね、正直、いまのところ。ソロとしてもそうですし、バンドとしてもそうですし、なので、合うっていうよりもセッションだったり、仕事ではやりたいとは思う人たくさんいますね、憧れてる人はいっぱいいるので。
ー主には日本の方ですか?それでも欧米の方ですか?
日本の方もいるし、でも外国のほうが多いかもしれないですね。そのヘヴィメタルとかは全部アメリカだったり、外国のアルバムとかアーティスト聞いて育ったんで。
ーちなみに、尾崎豊さんが凄く好きみたいですね。
はい、めちゃめちゃ好きです。
ー大村さんにとって、尾崎豊さんの歌はどんな魅力を持ってますか。
昔は歌詞が好きで、時々風とかいろんな歌詞があったんですけど、歌詞が凄く好きだったんですよね。どんどん年を重ねる、ライブとか見れるようになって、映像見れるようになって、ものすごい熱いですよね。魂が熱い、表現もすごいし、今のロックシーンとか、メタルシーンでも、なかなかない表現の仕方とか、そのライブ演出の仕方とかがあって、そこに凄く引かれるというか。なので、もう全力っていう部分がすごく伝わってきて、そこが一番好きですね。
ー去年はShowBoat 23周年イベントに藤岡さんのバンドでゲストとして出演しましたが、楽器一切弾いてなくて、尾崎豊を歌いましたよね。
はい!コピーバンドでございます!(笑)
ーそれは歌だけですか?
そうですね。歌だけですね。
ーその曲はどうやって選びましたのか?
そのメンバーがいつも一緒にやってる友たちだったんで、どれが一番お客さんに受けるのか、一番知られてる曲を選んだですけど。すごく緊張しましたね。一番好きな人の曲ってやるのはなんか申し訳ない、恐縮っていうか、緊張した思い出がありますね。思ったより全然緊張した!
ーアレンジの部分もロックのふうにアレンジしましたのか?
曲もその尾崎豊さんが実際やってたライブバージョンがあって、セリフだったり、MCだったり、表現も全部ライブバージョンでやります。
ー1月に新作をリリースしました。曲のほうは小さい頃影響受けてたMETALLICAやDokkenがあって、この曲たちはどうやって選びましたか。
曲は一緒にやってるバンドのリーダーと一緒に選んだですけど、自分の好きなバンドだったり、あとはもう本当に売れた有名な曲をカバーしてみようと思って、知られてないよりMETALLICAの曲は有名で、でもめちゃくちゃ難しいものも含めてやりたいなって。
ーカバーする時は何か難しいことはありますか。
一番こだわったのはやっぱりボーカルだったんで、ボーカル探すのがやっぱり大変だったんですよ。TOKIさんは僕のバンドのリーダーなんで、METALLICA歌いたいっていうこともあって。Atsushiさんは僕のソロのバンドのボーカリストなんで。一番難しいのはその人がいいかな。EVANESCENCEのAYA KAMIKIさんはUROBOROSで一緒にやってる、AYA KAMIKIさんが一番合うと思って、女性シンガーなんで。Arch Enemyのlynch.の葉月さんはTOKIさんの知り合いだったんで、C4で一緒にやったことがあるんですけど、そこで知り合いだったんで。MEGADETHのIkepyさんはヘドバンのイベントみたいなところで知り合いがあって、彼が一番合うじゃないかなと思って。
ーということで、先に曲を選んでから……
そうです!すごく悩みました!
ー実際録音する時は何かエピソードがないかなと思います。
Dream Theaterが一番大変だった気がしますね。Kuzeさんが歌ってもらった時に、いつもだと本当にヘビーメタル歌っている方だけど、でもDream Theaterはちょっと変わってて、表現だったり、変拍子もいっぱいあるし、高いとこからウィスパーボイスだったり、いろんな表現方法があって、ずっと同じところ繰り返してもらったり、「もうちょっと違うな」とか、「次こうやってください」とか、一曲で6時間くらいかけて、よく飽きないなと思いますけど。それ、一番大変でした。ほかのは結構知ってる曲だったり、尊敬したアーティストの曲なんで、やりやすかったかもしれないですね。
ー今回の新作はオリジナル曲じゃなく、カバーアルバムにする理由をおしえてくださいませんか。
そうですね、でもやってみたかったっていうのは多くありますね。Dokkenもやってみたかったし。いま僕13年目なんで、10年越えてやってきたっていうこととか、自分が好きだったのをいまの最高の状態でやったらどうなるのかっていうのを楽しみで、っていう部分もあって、それでやってみたいっていうのもありますね。
ーその、例えばMETALLICAやDokkenのCDを初めて聞いたのはデビューする4年前ですよね。わずか4年経ってデビューする(2004年)のがすごいと思います。当時振り返えたら、どう思いますか。
人に恵まれてるのはその環境だったり、メタルが好きの人がいたりとか、あとは自分のことを信頼して、いろいろやってくれる人がいたりとか、優しい人が周りにいたからっていうのはあると思いますね。自分の力だけだと絶対こんなことできないなんで。なので、テックニックより、人のおかけて、どんどんステップアップっていうのが大きいので。高校生の頃から考えるとこんなにいい人たちに恵まれるっていうのはまったく想像できなかったですね。しかも十何年もやってるのは。
ー今まで一回も「もう、辞めたいなあ」と思ったことがないですか。
ないかもしれないですね。もちろん大変だったりすると嫌になることはありますけど、でも他のことできないですね。他の仕事の自分っていうのは考えられないので、ギターしかないって部分もあるので、やめたいと思うのはないです。
ー高校時代からプロ目指してやってきましたか。
そうですね。最初に僕音楽学校に入ってたんですけど、そこに入ってからプロ目指すっていう意識に切り替わった感じはしますね。こんなに高い入学金払ってるだから、取り返さないと。
ー専門学校で中途に諦める学生さんがけっこういるそうですけど。
技術とかテックニックだけだと絶対なれないっていう……
ーだから技術と頑張る……
そうですね、気持ちもそうですし、あとは人との繋がれっていうのはすごく大切だし。
ー小さい頃からプロを目指してする時はソロギターリストとしてやりたいっていう目標を持っていますよね。
最初僕はバンドが好きだったん、JROCKとか、GLAYさんの曲が好きだったんで、バンドでやりたいと思ってたんですけど、いつの間にかメタルとか、ハードロック聴くようになって、ギターリストとしてやっていきたいっていうことがあったんで。
ー台湾にいらっしゃって、特にやってみたいことはありますか。
今日は楽しむだけなんで、次はライブしにきたいですね!バンドで!こことかすごくいいところなんで、次ちょっと相談してみようかな。バンドで来れるように。
文:MeMeOn Music
写真:HAIKUO